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さいたま美術展<創発>プロジェクト/Saitama Resonant Exhibitioins Project
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五十路のチビジ
埼玉における美術活動の有機的な連携を目指して、松永康が、随時その状況について思うことを書き連ねてゆきます。
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* 08:58
【】
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かえってきたCON展(その2)
2008/12/14 (Sun)
■
松伏町でCON展がスタートしたのは、まさにこのような時期であった。当初は一般的な美術展の形式をとっていたが、町の社会福祉協議会とタイアップし、会期中、独り暮らしの老人の会食会に会場を提供したり、チャリティーのための作品頒布会を開くなど、地元と接触を持つための工夫がすでに見られる。
第2回展からは、やはり地元住民による朗読や音楽演奏が関連イベントとして取り入れられた。5回展では、町内の民話収集グループによる朗読会が行われ、それに合わせて民話を題材とした作品を出品者が制作した。またこの年には、一般参加者とともに作品を制作するワークショップも実施している。
さらに第7回展ではパーティ料理にも工夫を凝らし、日常生活との接点を一層広め、8回展が行われた2003年には、出品者は年間を通してリレー式でワークショップを行った。10回展のときは、音響のよさで知られる館内のコンサートホールを使い、古楽器による大がかりな演奏会が並催された。
第11回展ではついに、巨大に膨れ上がったこの催しを象徴するかのように、「フリカッセ=ごった煮の意味を考える」という副題が付けられた。こうなってくると、参加者でさえ事業の全体像を把握しきれなくなっていたのではないか。そして12回展となる今回、この事業は改めて初心に戻り、他の関連イベントをすべて切り離すことでもういちど純粋な美術展の開催となったわけである。
ここには、ひとつの運動体が芽生え、それが拡張してまた収束するまでのひとつのサイクルが見られる。まず初めに、同じ目的を持った集団がひとつの事業を立ち上げる。そして、異なる目的を持ったグループとの併合を繰り返しながら規模を拡大させてゆく。ときには、別な集団に属する個人どうしが協同して新たな運動を派生させることもある。
しかし一方で、規模が拡大するにつれて、催しの全体像が見えにくくなり、運動体の目的自体があいまいになってくる。参加者をつなぐ球心力も弱くなり、一方で気の合う者どうしの小さなグループが生まれ始める。そこで浮遊化した小集団は、その内部で再び目的を醸成させながら、それぞれが新たな運動体として活動を開始するのである。
CON展では、美術の他に音楽、民話、料理といった異なる表現分野が混在していった。それらの連携の過程で、領域ごとに催し物の展開のさせ方に違いが現れたのではないか。たとえば音楽などの舞台芸術系では、催し物を大きくするときは観客を増やすのがふつうだ。舞台には必ず客席があるので、それは当然なのだろう。
ところが美術の世界では、事業拡大のためには、観客ではなく展覧会の出品者を増やすという方法が採られてきた。そのため展覧会を見に来る人も、自分で作品を作っていることが多い。また、あえて作家以外の人を集めるときは、ワークショップなどで平易な実技指導を行うことになる。そうするとますます、作品を作らない人は美術の世界に入りにくくなる。こうした悪循環が背景にあり、今日、日本の美術界は美術家だけで固められ、極めて強い閉塞感を持つようになったと思われる。
この閉塞状況を打ち破るため、近年では、学習指導要領の中で鑑賞教育の時間を増やすなど、新たな取り組みが行われるようになった。それはそれで重要ではあるが、すぐに効果が現れるというものでもない。
それよりもっと手っ取り早いのは、まさにCON展が行ってきたように、領域の異なる活動を行っているグループが互いに接点を持ち連帯することで、催しの規模を膨らませていくというやり方のように思われる。そのことでメンバーも閉塞感に陥ることなく、また異なる分野からの示唆を受けながら、これまでと違う催し物のあり方が学べるのではないだろうか。(つづく)
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* 10:12
【アート・シーン】
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