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さいたま美術展<創発>プロジェクト/Saitama Resonant Exhibitioins Project
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埼玉における美術活動の有機的な連携を目指して、松永康が、随時その状況について思うことを書き連ねてゆきます。
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「いのちを見つめる」展、ノースギャラリー、9月15日(火)~23日(水・祝)

 「いのちを見つめる」展は、美術家を中心とした「element」というグループが行っている。elementはこれまで都内で3回、ニューヨークで1回、横浜で1回、名古屋で1回、計5回の展覧会を行ってきた。埼玉では初めての開催となる。
 代表の高草木裕子さんは上尾に住んでおり、ご主人が自宅近くで菜園を営んでいる。獲れすぎて年を越し、食べる時期も植付けの時期も逸した小粒のじゃがいもがあった。水も土もなく萎れきっていたにもかかわらず、その塊からは、暗闇の中で微かな光を求めるように赤く細長い芽が伸びていた。新しい命へ転生しようとするその姿に心を動かされ、高草木さんはデッサンを開始した。
 自分にも子どもがいる。この命は子どもへとつながっている。そして、じゃがいもを食べることで自分たちの生は保たれている。一筋縄では語れない生命活動。それが、今回の展覧会のテーマを「いのち」にしようと思ったきっかけだった。
 さまざまな思いが表現の対象を変えていく。たとえば今、食べ物の元の姿が非常に見えにくくなっている。ものごとの真の姿を見極めるのは美術家の使命である。対象を深く「見つめる」ことで、その「いのち」をどう捉えるべきか考えるのだ。そこで見つけた答えは、必ず人に伝わっていくはずである。
 会場となるノースギャラリーのことは、以前、タムラサトルさんの展覧会を見に来たときに知った。第一に展示室の広さが気持ちよかった。それと、ここが複合施設であるため、美術関係者以外の人が多く出入りするところも気に入った。美術と社会の関わりを求めるelementにとって、多様な人たちに見てもらえることは重要なポイントである。
 実際、この展覧会では、会期中、ライブ演奏やレクチャーなどの関連イベントが盛りだくさんに用意されている。出品者の高橋理加さんによる「野菜の花を見つけよう!」と題したワークショップや、インターネットで活動を知り依頼したというハンガーフリーワールドの講演などなど。これらもまた、さまざまな関心を持つ人たちとの出会いの糸口となっていくのだろう。

(090711取材)

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