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さいたま美術展<創発>プロジェクト/Saitama Resonant Exhibitioins Project
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埼玉における美術活動の有機的な連携を目指して、松永康が、随時その状況について思うことを書き連ねてゆきます。
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 このとき埼玉美術の祭典の実務を担っていたのが、前衛運動時代から五月女さんと行動を共にしていた高木康夫さんだった。ところが間もなく五月女さんが日本を離れることになり、急遽、事務局長の任を高木さんが負うことになる。そして、高木さんが代表を受け持つこととなった後、事務局長を引き継いだのが小野寺さんであった。
 高木さんは、美術家の間に上下のヒエラルヒーが生まれることをとても嫌っていた。そこで、展覧会の運営形態をしばしば変更することで、権威の生まれにくい体制を維持しようとした。間もなく名称から「埼玉」を取り「現代美術の祭典」として出品対象を県外に拡げたり、その後「コンテンポラリー・アート・フェスティバル」として時代に即応した軽快さを印象づけたりしたのもそのためである。団体展としてのこの流動性が、県展との違いを示す最も大きな特徴となっていった。小野寺さんは、こうした高木さんの先見性に強く感化されたという。
 現在、この展覧会は、コンテンポラリー・アート・フェスティバルの頭文字のCAFに、星雲という意味のネビュラという言葉を添えて、「CAFネビュラ」という名称で続けられている。CAFネビュラでは、美術館内の催しにとどまることなく、美術家のつながりを星雲のようにどんどん外へ拡げていくことを目指している。
 「埼玉美術の祭典」は当初、埼玉会館で行われていたが、1982年に埼玉県立近代美術館が開館したことで会場を同館へ移すこととなった。そして同時に、小野寺さんの発案で、野外作品を対象としたコンクール部門を新設し、「野外の表現」展として美術館のある北浦和公園の中で行うことになった。「美術」ではなくあえて「表現」という言葉を前面に出したことで、この催しは美術という対象枠をさらに広げて飛躍していく。
 かつて彫刻には台座が不可欠であった。それは作品の世界を現実の世界から切り離すための、絵画で言えば額縁のような役目を担っていた。ところが野外の表現展では、この台座を排し作品を地面の上に立たせることを原則とした。そのことで作品を現実世界に溶け込ませ、さらに周辺地域との有機的な連結を志向したのだ。そして間もなく、出品者自らが各地で展示を展開させるサテライト展が行われることとなる。
 たとえば鍛金作家の関井一夫さんは、大井町の雑木林の中に義足のような作品を置くことを計画した。そこはふだんから近所の中学生たちがたむろしている場所であり、当初は作品に危害が及ぶのではないかと懸念された。ところがいったん作品が置かれると、その空間に極めて強い緊張感がもたらされ、生徒たちは逆にそこでの悪業を慎むようになったという。
 このようにさまざまな実験を行いながらも、北浦和公園の使用規定が厳しくなったため野外の表現展は1992年をもって終了する。しかし、前述のような経緯を経てその10年後の2002年、東京電機大学鳩山キャンパスにおいて「国際野外の表現展」が新たに開催されることとなった。
 国内だけでなく海外からもアーティストを集めることで、大学関係者や周辺住民への刺激も期待できた。海外アーティストと接触する機会を作るため、自作についてプレゼンテーションを行う場も設けた。日本の美術家たちはこれまで作品についてあまり語る機会がなかったが、彼らの説明手法に触れながら、それぞれがいかに人に伝えることができるかを工夫するようになった。自らの活動について適切に言葉にできなければ、異文化の地でその意義を理解してもらうことは不可能に近い。(つづく)
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