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さいたま美術展<創発>プロジェクト/Saitama Resonant Exhibitioins Project
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埼玉における美術活動の有機的な連携を目指して、松永康が、随時その状況について思うことを書き連ねてゆきます。
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さいたま市の埼玉市民医療センターでやっている「病院とアート」展を見てきた。美術家の塩崎由美子さんが長い年月をかけて実現させたものだ。
塩崎さんはスウェーデンで暮らしているが、何年か前から病院通いをするようになり、院内に置いてある現代美術作品に関心を持つようになった。日本ではせいぜいが額に入った印刷物だが、スウェーデンでは病院に現代美術作品を置くのはごくあたりまえのことらしい。日本の病院がこれほど殺伐とした印象を与えるのはそのためだったのか。塩崎さんはそのころから、日本の病院にもぜひ現代美術作品を置きたいと考えるようになった。
今回のプロジェクトでは、塩崎さん他13名の日本人美術家とスウェーデンからの招待作家、それに筑波大学と大宮高陵高校の学生の作品が展示されていた。病院で展示される美術作品というのは、いわゆるパブリック・アートの中でも特殊な部類に入るだろう。作品が置かれる空間性や歴史性だけでなく、そこに関わる人々の精神状態も考慮して作品を構成する必要があるからだ。今回の展示では作品の傾向が多様だった分、私は特にそのことを強く考えさせられた。
展示された作品を見ながら、大きく3つのパターンがあることに気づいた。1つめは置かれる空間に合わせて作られた作品、2つめは自らのスタイルでこの場に合ったテーマで制作したもの、そして3つめがふだん作っている作品をそのまま持ってきたものである。
高浜均さんの作品が1の典型である。空いた壁面にアクセントを入れたり空間の特徴を利用したりと、それが置かれたことで建物の構造が引き出され、また空間が引き締まっているように見えた。しかしそれだけなら、たぶんデザイナーでもできることだろう。
2の典型が丹下尤子さんの作品だ。ロビーの柱の壁1本1本に、ここを通る人の心を静めるように植物の絵を掛けていく。外来で時折訪れる人にとってはたしかにそれなりの効果があるのだと思う。しかし長く入院している人の中には、その恣意性が逆に気になってしまう人もいるかもしれない。
そして3の典型は細野稔人さん。過去に制作したブロンズの少女像を数点展示していた。何も目新しいことはなく、他の病院でも目にしそうな光景である。しかし不思議なことに、というか当然のことながらというべきか、私にはこの空間が最も自然に感じられた。
この日は夕方から「病院とアート」と題されたセミナーが行われた。病院の建築について研究している中山茂樹さんは、病院の中に癒しの空間を創出することの必要性は認めつつも、美術作品の展示場所にするべきではないと断言していた。それに対して塩崎さんは、今回のプロジェクトではそうした印象を与えないように配慮したと弁明していたが、作品の置かれた状況を見る限りやはり「展示」という観はぬぐえなかった。(つづく)


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