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さいたま美術展<創発>プロジェクト/Saitama Resonant Exhibitioins Project
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埼玉における美術活動の有機的な連携を目指して、松永康が、随時その状況について思うことを書き連ねてゆきます。
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「さいたま美術展〈創発〉プロジェクト」のゆくえ(その4)
2011/03/04 (Fri)
■
わが国では中央集権制の徹底により、欧米、日本政府、地方行政という序列が明確に位置づけられてきた。そこでは、常に上を見習いながら自らを正すことが求められ、それを遵守することで比較的短期間に近代化を成し遂げることができた。これは否定しようのない事実だ。
しかし今、すでに欧米から学ぶことはなく、政府も地方を統率する経済力を失っている。それならばこれからは、それぞれの地方が自分自身で考えてやっていくしかないだろう。
美術関係では、越後妻有トリエンナーレや瀬戸内国際芸術祭といった地方発の大型イベントが花盛りだ。これらは地域の特性を活かしながら、それぞれに違った方法論を展開させている。他と同じことをやらなかったからこそうまくいったのだ。やはり自分のことは自分で考えるしかない。
埼玉にはよく特徴がないという。だがそれは誤りだと思う。筆者が見るに、そこには他に類のない県民性や地域性がある。要は、見ているかいないかの違いではないか。そこを徹底的に追求し最大限に利用していかない限り、地域の活性化はありえない。それもまた、そこに住む人々が考えるべきことだ。
シンポジウムの中で、オープン・アトリエに来た人から「ここで何を作っているのか30年間ずっと気になっていた」と言われたという話があった。その人は、その場が放つ空気によほど惹かれていたのだろう。美術は地域の中で決して忘れられてはいない。これまで出会う機会がなかっただけなのだ。
「さいたま美術展〈創発〉プロジェクト」は現代美術を媒介として、人と人の小さな結びつきからグローバルな時代精神を創発させようと目論んでいる。時代精神と言っても別に大それたことではない。ただ、目の前にあるものの価値に気づく感性を取り戻すということだ。そしてその感性こそが、これまでのようなトップダウン方式を改め、ボトムアップ型の社会を構築するための最大の牽引力となるのではないかと夢想している。(おわり)
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